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アイムファイン特集>こんなキッチンがほしかった


キッチンは、支度から調理、配膳、後片付けまで、さまざまな動作がなされる場所です。それだけに使い勝手にはこだわりたいものですが、車いすユーザーにとって、使いやすいキッチンとは、どのようなものでしょうか。
昨年、オーダーメイドでキッチンをリフォームされた車いすユーザーのIさん宅を訪問し、キッチンリフォームのこだわりを見せていただきました。
●調理の動線は一筆書きで
Iさんのキッチンの特長は、冷蔵庫、シンク、IHコンロ、木製カウンターまでが、コの字型となっていること(写真1参照)。これは、調理のときに使う設備を順序よく並べたからです。冷蔵庫から取り出した食材は、まず冷蔵庫の右側のスペースに置きます。次にシンクで洗い、シンク右手のスペースで下ごしらえ。そしてIHコンロで加熱調理をしてできあがり。一連の動作が一筆書きでつながっているから、移動の手間などのロスが少なくなります。また、シンクの左右に作業スペースがあることも、使い勝手の良さにつながっています。
●車いすの「寄り」にこだわる
シンクは、車いすで入ってもひざが当たらないよう、浅型のものを採用しました。キッチンカウンターは、壁に固定するタイプなので、カウンター下が広々と使えます。車いすをどの方向からも接近させて使えるので、気分的にも楽になります。
床からキッチンカウンターの底部までの高さは、移動や方向転換が楽にできるよう、車いすに座ったときのひざの高さから2センチ高くするのが基本です。Iさんの場合、高さは77センチになりました。
カウンターの縁と冷蔵庫の両サイドには、手すりを取り付けました。車いすの位置を微調整したり姿勢を整えたりするのに便利です(写真2参照)。また、少し立ち上がって、高いところやカウンターの奥にあるものを取るときに重宝します。このように、車いすの細部の動きにこだわることで、使いやすいキッチンができあがるのです。
●木製カウンターでの工夫
キッチンの入口付近には、暖かみを感じさせる木製カウンターを配置しました。ここには、トースターや電子レンジなどを置いています。トーストやレンジで温めたもの一時的に置いておくのに便利な収納式のテーブルもあります(写真3参照)。
木製カウンターの形状は半円形なので、車いすでどの方向からもアプローチすることができます。脚は奥に立ててあり、車いすで寄り付くときに邪魔にならないように配慮されています。半円形にした分、スペースが広がり、お茶を飲んだりすることができます。
●収納も一工夫
収納は、「使うものは、使う場所の近くに」を基本に配置しました。大型の食器棚、木製カウンター下部の引き出し、カウンター下のキャスター付収納です(写真4参照)。
引き出しは、IHコンロのそばにあり、おたまなどの調理道具を納めています。また、調味料やこまごまとした調理器具類も。
キャスター付き収納には、フライパン、お鍋、ボール類が入っているので、使用する調理器具をキャスターごと運べるのがポイントです。
●設計者とよく話し合うこと
今回のリフォームを設計したのは、一級建築士の大瀧雅寛さんです。大瀧さんは、数々のバリアフリー住宅を手掛けてきました。そんな大瀧さんですが、キッチンについては頭を悩ませることが多いと言います。
「市販のシステムキッチンで、車いすユーザーが使うことを想定したものは見当たりません。だからといってオーダーメイドにすると、高価なものになってしまい、セミオーダーでも、決まったパターンを組み合わせることになってしまいます。そのため要望を完全に満たすことが難しいのです。だから結局は、シンクなどのパーツを組み合わせて、自分で設計から施工までやることになりますね」
大瀧さんが大切にしているのは、ユーザーがどんなことを望んでいるのか、それから、どのように利用するのかの二点です。そのためには、何回も依頼者と面談し、ときには実際に動作をしてもらって、細部の設計に役立てます。
今回のリフォームで、Iさんは毎日の調理がとても楽しくなったと感じています。そのことが、生活全体を明るくしてくれたとも。これも、大瀧さんとIさんがよく話し合った成果です。
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