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―ジョンさんはツリークライミングを日本に紹介した第一人者ですが、ジョンさんとツリークライミングとの出会いは?
6歳のとき両親が離婚して、ママの故郷バンクーバーに引っ越したときのことです。新しい友だちになじめなくて僕は毎日落ち込んでいたんだけど、そんなある日、学校でいじめられて泣きながら帰った僕を、おじいちゃんはなぜか丘の上の木にいっしょに登らせてこう言ったんです。「ご覧。学校はあんなに小さいけど、世の中には海も山もある。人生には楽しいことがいっぱいあるよ」って。その瞬間、僕の心に太陽がさした気分でした。
僕は、「友だちがほしい」ともおじいちゃんに言ったんですが、おじいちゃんの答えは「じゃあツリーハウス(木の上の家)を作ろう」。これも最初は意味が分からなかったけど、作ったら本当に友だちが大勢遊びに来るようになった。僕は「ツリーハウスではみんな仲良くする」「お互いにやさしい言葉を使う」「いじめは禁止」というルールを作りました。そうするうちに分かってきたのは、人は木の上ではなぜかやさしい気持ちになるということでした。
―チャレンジャー(障害のある人)もツリークライミングを楽しめるよう、ジョンさんは独自に研究・工夫もしていますね。
きっかけは、彦坂利子さんというチャレンジャーに出会ったことです。彼女は世界一の木に登りたいという夢を持っていて、僕もぜひそれを叶えてあげたいと思って研究を始めたんです。そして彦坂さんは、カリフォルニアにある高さ80mものジャイアントセコイアを制覇しました。
僕のおじいちゃんは、「自分の夢を叶える一番の方法は、他の人の夢を叶えること。そこからパワーをもらえるんだ。そして、夢はきっと叶うものなんだよ」とも言っていたけど、本当だと思った。彦坂さんの夢は僕の夢にもなって、それが叶ったときはすごくうれしかったし、僕自身も変わることができた気がします。
実は、僕の長男は小児糖尿病I型という病気なんだけど、彼は「チャレンジャーが木に登って元気な姿をいつも見ているから、僕も頑張れる」と言って、今いろいろなことに積極的にかかわっています。だれかの夢を支えたつもりが、巡り巡って自分の身近な人を支えることにもなるんだと知りました。
―すでにたくさんのチャレンジャーがツリークライミングを体験しているそうですね。
体の状態は一人ひとり違うので、個々に応じて使う道具や登り方を工夫しています。普段義足を使っている人にはおもりを用いてバランスをとりやすくしたり、視覚のチャレンジャーには道具に鈴を付けて現在の高さがわかるようにしたりと。こうした工夫から新しいゲームを思いつくこともあるんですよ。チャレンジャーのおかげで僕らは賢くなります(笑)。
「木に登ったことで自分に自信がついた」「友だちができた」という人もたくさんいます。
ある日チャレンジャーの子どもたちがツリークライミングをしていたら、たまたま通りかかった小学生の団体がびっくりしたんです。「君たち、本当にこの木に登ったの?」「すごいなぁ」とヒーローを見る目で眺めて、もうみんなすっかり仲良し。周りの大人同士も友だちになったりします。
木の上では、車いすの人であるかどうかなどは関係ありません。障害の有無よりもむしろ「登りたい」という気持ちが大事だと思う。子どもに対して“危険なことはダメ”“うちの子には無理”と言う大人もいるけれど、その前に子どもの意欲を尊重してあげてほしい。
挑戦する機会さえあれば、子どもはできるようになる。そして、子どもに機会を与えることが大人の役目だと思う。僕がツリークライミングで目標としていることも、何にでも挑戦できる「バリアフリーな心」を育てることです。
―8月の「キッズキャンプ2007」でも、ぜひそうした心を子どもにも大人にも養ってほしいですね。
そう思います。ただ、みんなが木に登らなければいけないわけではないんですよ。木にさわってそのぬくもりを感じるのもいい。木は登るだけの存在ではなく、僕らを癒してくれる存在でもあるのだから。
また、木はいろいろなことを教えてもくれる。たとえば、木の根は見えないけれど、周りの木どうしが互いに根を絡み合わせて、倒れないように支え合っている。人間社会と同じで、僕らも助け合ってこそ生きられるんだと教えられるでしょう? また、木はいつも同じ場所に立っているけれど、枝はいろいろな方向に伸びていて、上に登る方法は一つではなく選べるということ、つまり人生もいろいろな生き方ができるんだと学ぶこともできます。
そうやって、僕らにさまざまな恩恵を与えてくれる存在だからこそ、木は大切にしてあげないといけない。僕は「地球は貯金箱」と考えています。自然は人間にいろいろなものを与えてくれるけど、人間は自然に与えることができているでしょうか。貯金箱のように限りあるものとして、みんなで守り育てていきたいですね。
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NPO法人ツリークライミング
ジャパンの
スタッフは、みんな明るくて元気いっぱい |
〜記者のひとこと〜
味噌樽の廃材で作ったツリーハウスに家族4人で暮らしているというジョンさん。「我が家のルールは、『愛と笑いとコミュニケーションとお茶目と夢』。子どもをしかるのは1分以内。その後はしっかり愛情を表現するんです」と、木だけでなく子育てについても素敵な考え方をお持ちです。著書「森が生きる勇気をくれた〜木は人間のお医者さん」(ウェッジ刊)にも、ジョンさんが木から学んだことや家族の教えがたくさん紹介されていて、その心温まる内容に思わず胸が熱くなります。「木が人をやさしい気持ちにさせてくれる」というジョンさんですが、ジョンさん自身も周囲の人々をやさしい気持ちにさせてくれる存在です。
インタビュー:丸瀬景子 写真:高木あつ子
「ミプロキッズフェア2007in東京」 で、ジョンさんのお話を聞くことができます。
『子どもは未来の宝物』ツリークライミング®で樹上の世界へ行ってみよう
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日程 7月8日(日) 午後2時〜3時 こちらもぜひご参加ください♪ |
ジョン・ギャスライトさん
1962年アメリカ・オレゴン州生まれ、カナダ・バンクーバー島ビクトリア市育ち。10歳でAS(強直性脊髄炎)を発症。
幼い頃に海岸で拾った下駄をきっかけに84年初来日。愛知県郊外に味噌樽の廃材でツリーハウスを建て、日本人の妻、息子2人と暮らす。
木を育てながら空間デザインする「木笑園造林プロジェクト」が2000年度グッドデザイン賞受賞。2000年にNPO法人ツリークライミングジャパンを設立。名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程在学中。
ツリークライミングとは?
ロープやサドル(安全帯)など特別な道具を使って楽しむ木登り。もともとは樹木を保全・管理する「樹芸家(アーボリスト)」という人たちが開発した技術で、その後より多くの人が楽しめるものとしてアメリカのピーター・ジェンキンスさんという人が普及。日本にはジョンさんが紹介し、チャレンジャーでも楽しめる方法を独自に開発しています。もちろん人に負担をかけないようにすると同時に、木を傷つけないための工夫も施されています。
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